2024年3月10日
睡眠中の血中酸素レベルについて
M血中酸素飽和度(SpO2)とは、動脈を流れる赤血球に含まれるヘモグロビンが酸素と何%結合しているかを示す値です。
日本呼吸器学会によると、睡眠中の血中酸素飽和度の正常値は約 96 ~ 99% で、90%以上であれば通常は酸素が足りています。血中酸素飽和度90%未満は呼吸不全の状態です。
睡眠中の血中酸素レベルは基本的に低下します。睡眠中は身体機能がすべて変化し、呼吸が浅くなり、肺が完全には動かないためです。このため睡眠中の血中酸素レベルは起きているときより低くなるのが普通です。起きているときの酸素飽和度が正常値であれば、睡眠中の酸素飽和度は多くの場合問題がない範囲内に留まります。
しかし呼吸不全の状態が続く場合には、健康に問題が起こる可能性があります。
また、睡眠中の酸素不足は、原因に病気が潜んでいる場合もあるのです。
血中の酸素濃度に影響を与える病気
米国を代表する医療機関であるメイヨークリニックによると、特に循環器系や呼吸器系の特定の病気によって血中酸素飽和度が危険な数値まで低下することがあります。睡眠中には更に悪化することが懸念されます。 血中酸素飽和度に影響を与える代表的な病気や状態は以下の通りです。
呼吸器の病気
呼吸器の病気は気道を狭め
・ふさいだり、肺組織の損傷や炎症を起こしたりします。これらの病気が正常な呼吸パターンを妨げる場合があります。
・慢性閉塞性肺疾患 (COPD): 肺気腫、慢性気管支炎など
・喘息(ぜんそく)
・肺炎などの肺感染症
・喫煙と肺がん
心臓の病気
心臓の病気は、血流、血中酸素レベル、全身の組織への酸素供給に影響を与えることがあります。
・冠状動脈性心疾患: 狭心症、心筋梗塞など
・うっ血性心不全
・先天性心疾患
貧血
貧血は赤血球に含まれるヘモグロビン (Hb) が減少した状態です。肺から酸素を取り込み、全身の組織に運ぶ能力が低下しています。鎌状赤血球貧血などヘモグロビンに異常がある場合も同様です。
肥満
肥満は、睡眠中に喉がふさがり呼吸が妨げられる睡眠時無呼吸症候群の原因の一つです。また著しい肥満は肥満低換気症候群 (OHS) の原因にもなり、深い呼吸をしづらく酸素が取り込みにくいという症状が起こります。
薬剤
鎮静剤などの長期服用や違法薬物の使用は、脳の呼吸中枢を抑制し、呼吸数を減らし酸素を取り込みにくくする場合があります。
アルコール
大量のアルコール、特に寝る前の過度の飲酒は、呼吸を減らし十分な酸素の取り込みを妨げる恐れがあります。
低い血中酸素飽和度が健康に与える影響
健康な体の組織と細胞の機能を維持するには、血液中に十分な酸素が必要です。このため低酸素状態は体内のすべての組織の機能に影響を及ぼします。
睡眠中の低酸素状態が慢性的に続くと、以下のような健康上のリスクが大きくなります。
・睡眠障害:不眠症など
・睡眠の質の低下:夜中に何度も目が覚めて眠りが浅いなど
・高血圧
・循環器疾患: 心不全など
・不整脈と突然死のリスク
・2型糖尿病
・脳の機能低下、脳の損傷の危険性も
・意識不明、昏睡、死亡するリスク
懸念があるときは医師に相談
睡眠中の血中酸素レベルに懸念があるときには医師の診察を受けてください。
必要に応じて睡眠検査が実施されます。1泊入院して精密に検査する睡眠ポリグラフ(PSG)検査では、睡眠中の呼吸やその他の動きを記録し、パルスオキシメーターによって血中酸素飽和度を測定します。
*この文章は睡眠中の血中酸素レベルについて一般的な情報を提供するものです。医療上のアドバイスや診断ではありません。
また、Go2sleepは健康管理のみを目的としており、病状の自己判断や医師との相談での利用、疾患の診断・治療・予防への使用を目的としていません。健康の変化や懸念があるときには医師の診察を受けてください。